地蔵巡り(新薬師寺、福智院、十輪院、元興寺、伝香寺)

地蔵巡り(新薬師寺、福智院、十輪院、元興寺、伝香寺)

お地蔵様は老若男女から、子供にいたるまで最も親しまれている仏様です。
7月23日は奈良市内では地蔵盆が行われる日ですので、それに因んで「地蔵めぐり」コースをご案内します。お地蔵さんにもいろいろと違ったお地蔵さんがおられますが、今回はお寺に安置されているお地蔵さんを巡るコースです。ぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか。

コース番号02-B00
所要時間約3時間
歩行距離3.5km
対象期間年中
利用交通機関

コースは一例です。
ご希望に沿って自由に設定できます。

■拝観料
新薬師寺:600円 福智院:500円
十輪院:500円 元興寺:500円

このコースの概要

みどころ
新薬師寺

南門を入ると正面には国宝・薬師如来座像を安置する本堂があり、左手の木立の中に「地蔵堂」が見えます。内部には「地蔵十王像」や1506年の銘のある「地蔵菩薩像」などの石仏が安置されています。さらに「地蔵堂」の前には数体の石地蔵が安置されており、その中央に「紙貼り地蔵」と呼ばれ、お年寄りに大変人気があるお地蔵さんもおられます。特筆すべきは、「おたま地蔵尊」です。境内の「香薬師堂」に安置されており秘仏ですが、希望により特別開房されます。1989年東京芸大が「影清地蔵尊」を修理しているときに、胎内から発見されたものです。地蔵の上に地蔵がすっぽりはまり、700年間、誰の目にもふれなかったお地蔵さんです。

福智院

本尊の「木造地蔵菩薩像」(重文)は、1203年建立の墨書銘がある丈六(2.72m)の座像で、5mを超える光背には小型の化仏がつけられています。その総数は567体あり、釈迦滅後、56億7千万年の後に下生するという弥勒の信仰に符号するロマン溢れるお地蔵さんです。
"釈迦はすぎ 弥勒はいまだ 出ぬ間の
かかる憂き世に 目あかし地蔵"

十輪院

本殿奥の花崗岩製の大きな龕(がん)の中に、ご本尊の「地蔵菩薩」(重文)が安置されています。龕の高さは2.42m、間口2.68m、奥行2.42mあり、左右に釈迦如来、弥勒菩薩を浮き彫りで表しています。そのほか、仁王、聖観音、不動明王、十王、四天王などがまわりに巡らされ、極楽往生を願う地蔵世界を具現しています。平安中期から鎌倉初期に、民間信仰の影響を受けて制作された非常に珍しい構成を示しています。

参考コース順路(一例です。)

場所内容
近鉄奈良駅出発場所
 バス移動市内循環バス「破石町(わりいしちょう)」下車 10分
新薬師寺20分
 徒歩移動10分
子安地蔵
 徒歩移動7分
福智院20分
 徒歩移動7分
十輪院20分
 徒歩移動5分
元興寺(極楽坊)20分
 徒歩移動15分
伝香寺20分
 徒歩移動10分
近鉄奈良駅終了場所
 ← 左のマークの場所では、トイレをご利用いただけます。

いち押しポイント

福智院と十輪院では、お寺の方の説明を聞かれることをぜひお薦めします。家族的な雰囲気の中で、数多くの興味深い情報が聞けること請け合いです。

◎ 新薬師寺の「おたま地蔵尊」のことをもっと詳しく記しましょう。
鎌倉時代、高畑に地蔵堂がありました。平影清が源頼朝を討つ前に、この辺りに住む母にお別れに来て、自分の弓を形見として置いていきました。母は弓を地蔵に持たせ影清の供養をしました。明治の廃仏毀釈でこの「影清地蔵尊」は新薬師寺におまつりされました。時が移って1984年、東京芸大に仏像の修理に出された高さ187cmの檜造りの「影清地蔵尊」は調査の結果、何と36の部材が無数の釘でとめられて造った衣が着せられ、中にもう一体の裸の地蔵がおられました。まるで着せ替えのお地蔵さんだったわけです。調査を終えた「影清地蔵尊」は、中は空洞の弓を持った地蔵と、新しく頭を付けた「おたま地蔵尊」の2体となって戻って来られました。「おたま地蔵尊」の名前は、胎内から玉のような地蔵さんが生まれたことによる命名だそうです。

耳寄り情報

お地蔵さん:
  正式には「地蔵菩薩」と言いますが、この地蔵菩薩の信仰の源は、釈尊以前のインドの神話の中の地神に求められ、大地を神格化したもので、梵語では「キシチ・ギャルバ」というそうです。「キシチは大地」、「ギャルバは胎」、すなわち包蔵するの意味で、地蔵とは大地の如く万有の母体であり、全てのものを育成し成就させる働きがあるという意味だそうです。「地蔵尊」は釈尊の依頼を受け、地蔵菩薩を信仰するあらゆる人々の苦悩を削減し、利益と恵みを与えて下さる「慈悲無類の菩薩さま」ということです。

破石町(わりいしちょう)
  この町に約2メートル立方の石があり、西大寺の東塔の心礎石を作るとき、酒30石をこの石にかけて割ったという言い伝えがあり、町名もここから生まれたと言います。また一説には、この石は境界を示す境界石であるとも言われています。