佐保路三観音めぐり(法華寺、海龍王寺、不退寺)
佐保路三観音めぐり(法華寺、海龍王寺、不退寺)
佐保路には、由緒ある三ヶ寺それぞれに、ご本尊として今日まで護り伝えられた美しい観音様がいらっしゃいます。不退寺、聖観音菩薩立像。海龍王寺、十一面観音菩薩立像。そして法華寺には光明皇后がモデルとされる国宝の十一面観音菩薩立像が。海龍王寺と法華寺の十一面観音菩薩像は毎年、春と秋に特別公開されますが、これらの三観音を中心に佐保路をご案内いたします。
コース番号 | 05-C01 |
所要時間 | 約3時間 |
歩行距離 | 4.0km |
対象期間 | 年中 |
利用交通機関 | バス |
コースは一例です。
ご希望に沿って自由に設定できます。
■拝観料
不退寺:500円(特別展期間 600円、5月28日のみ700円)
海龍王寺:500円 (秘仏開帳期間 600円)
法華寺:700円 (秘仏開帳期間 800円、または1,000円)
このコースの概要
みどころ
不退寺
正式には「不退転法輪寺」といいます。847年、業平が仁明(にんみょう)天皇勅命により祖父平城天皇の「萱の御所」を寺とし自作の聖観音像を祀ったことに始まるとの一説があります。業平寺とも呼ばれ、着物の柄にも見られる業平格子や花の寺としても有名です。
海龍王寺
731年、光明皇后の御願によって建立されたお寺で、開基は僧玄昉です。玄昉は遣唐使としての帰国の途中暴風雨に襲われましたが、海龍王経を唱え無事帰国することができたため、寺号を海龍王寺としました。本尊の十一面観音像は、光明皇后が自ら刻まれたのをもとに鎌倉時代の慶派仏師により造立と伝わります。
法華寺
格式ある大和三門跡の一つ法華寺は、もと藤原不比等の邸宅であったものを引継いだ光明皇后御願の日本総国分尼寺として創められた「法華滅罪之寺」です。国宝である本尊の十一面観音像は光明皇后がモデルとされ、木彫観音像の中でも他に例がない傑作といわれます。歌人会津八一も心を寄せた有名な仏様です。
参考コース順路(一例です。)
場所 | 内容 | |
---|---|---|
バス移動 近鉄大和西大寺駅又はJR・近鉄奈良駅乗車 | 出発場所 | |
「不退寺口」(「一条高校前」)下車 | 5分 | |
不退寺 | 30分 | |
徒歩移動 | 20分 | |
海龍王寺 | 45分 | |
徒歩移動 | 5分 | |
法華寺 | 45分 | |
バス移動「法華寺」乗車 | 近鉄大和西大寺駅行き 8分又はJR・近鉄奈良行き 15分 | |
近鉄大和西大寺駅又はJR・近鉄奈良駅 | 終了場所 | |
← 左のマークの場所では、トイレをご利用いただけます。 |
いち押しポイント
◎ 不退寺
聖観音像は業平観音とも呼ばれ、業平の自作といわれています。近世まで秘仏でしたが、明治以降は常時御開帳されています。桂材の一木造で、宝冠帯に大きいリボンを着けた珍しい観音像です。全身胡粉地の上に極彩色の花紋装飾が施されたあでやかさから、業平の理想の女性ではないかと伝えられています。
◎ 海龍王寺
十一面観音像は精巧入念な作で、頭・体のプロポーション、頭部の自然な俯きに優しい手の動き、腰のひねりに巧みに応ずる右脚の遊ばせ方など彫刻としての基本的なデッサンは確かなものがあります。截金(きりかね、切金)を使用した衣の模様や装身具は実に素晴らしく、デザイナーやスタイリスト志望、宝飾関係の拝観者が多いというのも納得です。
*「十一面観音菩薩立像」特別開帳:3/23~4/7、5/1~5/9、10/25~11/10(予定)
◎ 法華寺
十一面観音像は左脚に重心を置き、右脚を遊ばせ、跳ね上がった右足の親指は、衆生を救うために歩き出そうとする姿を表します。膝に触れる長い右腕は、仏像の特徴のひとつである「正立手摩膝相(しょうりゅうしゅましつそう)」を表したものです。本像の顔貌表現、胸部と大腿部の量感を強調したプロポーション、大小の波が繰り返すような衣の襞は翻波(ほんば)式文様、「光背」は未開敷蓮華(みかいふれんげ)(蓮の蕾)と蓮葉を放射状に配した他に見られない貴重なものです。
*「十一面観音菩薩立像」特別開扉:3/20~4/7(春季)、10/25~正倉院展に準ずる(秋季)
耳寄り情報
◎ 法華寺
平成29年9月15日に「維摩居士坐像」が新たに国宝となりました。同坐像は肖像彫刻の傑作といわれ、奈良時代の名像として知られる仏像です。本堂で通年拝観できます。同寺では「絹本 阿弥陀三尊及び童子像」(特別開扉10月25日~正倉院展に準ずる)、「十一面観音菩薩立像」と併せて国宝が三つとなりました。なお、十一面観音菩薩立像は特別開扉以外の日は国宝像と同じお姿のご分身の拝観となります。
◎ 海龍王寺
「海龍王寺のスゴイところ」と「玄昉さんのスゴイところ」という2種のマンガ・イラストによるパンフレットが用意されています。 寺の歴史と開基された僧玄昉について、わかりやすくまとめています。